災害時に見なおされる「ふるさと寄附金」制度の活用
▼朝日新聞 2016年4月21日(水)7面
ふるさと納税 熊本応援
地震{.keyword}で被災{.keyword}した自治体に、「ふるさと納税{.keyword}」の制度を使
った寄付金が集まっている。インターネットを通じて納税
を仲介している主な2業者の申し込み分だけで、20日まで
に1億7千万円を超えた。
ふるさと納税{.keyword}を巡っては自治体の「返礼品競争」が問題
視されていた。今回は返礼品はなくても多額の寄付が集ま
っており、被災{.keyword}地応援の仕組みとして改めて注目される。
返礼品なし・災害支援限定1.7億円超
仲介サイトの「ふるさとチョイス」(トラストバンク運
営)では、熊本県{.keyword}菊池市{.keyword}や宇城市{.keyword}などへの寄付の申し込み
が、20日までに4761件総額9884万円に達した。
ソフトバンク{.keyword}グループが運営する「さとふる」には、南
阿蘇{.keyword}村などへ20日までに5385件7846万円が集まっ
た。「関東からの寄付が5割程度を占める」(広報)とい
う。ネットを通じて比較的簡単に申し込みができて、寄付
金の使用目的も災害支援などに限定されていることが、評
価されているようだ。
通常は魚や肉といった特産品の返礼があることが多い
が、今回はない。業者も利益を出さないように配慮してい
るという。
被災{.keyword}地以外の自治体が、手続き面で協力するケースも出
てきている。福井県{.keyword}や茨城県{.keyword}境町ではふるさとチョイスと
連携して寄付金を募り始めた。いったん寄付金を受け取
って証明書を発行し、あとから熊本県{.keyword}に送るという。
昨年9月に水害を受けた境町では、当時ふるさと納税{.keyword}の
手続きが大変だった経験がある。「助けてあげたいという
思いで、作業を熊本県{.keyword}の代理でやる」(まちづくり{.keyword}推進課)
と話す。同町によると16日から受け付け、20日午後3時現
在で2493件5731万円の申し込みがあったという。
熊本県{.keyword}では「経緯はわからないが大変ありかたい」(税
務課)。ほかにも大分県{.keyword}が受け入れを検討するなど、同様
の取り組みは広がりそうだ。
一方で、サイトと連携している特定の自治体に寄付が集
中する可能性がある。
(湯地正裕、伊藤弘毅)
個人が自分で選んだ自治体に寄付すると、払う税金が減る、とい
う制度。年収に応じた枠内で、寄付額のうち2千円を超える分か所
得税と住民税から控除される。寄付する自治体は全国どこでも自由
に選べる。総務省{.keyword}によると、2015年度上半期の寄付受け入れ額は
453億円。特産の農産品など返礼品がもらえる自治体も多い。