家庭系生ゴミバイオ施設、長岡市視察の報告


昨年8月27日に長岡市へ家庭系生ゴミバイオ施設視察に伺いました。
中村議長と2人での視察でした。
今まで家庭系の生ゴミバイオ施設で大規模の施設は全国的に見てもなかったが
ここに来て大規模で安定的に稼働している施設があるという情報をいただいた
ので、視察をいたしました。

当時の受け応えの回答文をいただきましたので
報告いたします。

平成27年1月7日
長岡市環境部環境施設課

鎌倉市議会 行政視察 質問項目(回答)

1.バイオ施設の計画はいつから始めたか

・H16年10月から「ながおかのごみ改革」に着手。家庭ごみの一部有料化、資源物の分別収
集や集団回収、拠点回収等の資源化を実施し、ごみの減量化・/資源化の推進を図る。
・H17年度から、さらなる低炭素社会の構築と再生可能エネルギーの利用促進を図るため、
「燃やすごみを減らすこと」を最大の目的として具体的な検討を始める。
・「長岡市地域新エネルギービジョン」(H18年2月)で再生可能エネルギーの活用から「生
ごみを利用したバイオガス化プラント事業」は利活用性の高いプランの一つとして選定さ
れた。
・本市の一般廃棄物ごみ処理基本計画(H18年12月)及び総合計画(H19年3月)に組み
込み、生ごみバイオガス化事業を推進。

2.計画実行までの住民への対応について

①施設建設地への対応
・公共下水道の普及に伴い、休止していた旧し尿処理施設の解体跡地を活用。
・市の所有する施設(ごみ焼却場、下水処理場)の相互利用により、生ごみの処理が完結。
手間と経費の削減を図る。
②住民説明会
・都市計画の変更と合わせて、近隣町内会(約半径1km圏内)を対象に2回に分けて実施(H22
年1月)。大きく反対する意見は見られなかった。
③計画から建設直前までの期間
・着工前に同町内会を対象に施工業者同席による工事説明会を実施(H23年12月)

3.建設はいつからいつまで、その期間

・H24年1月からH25年6月までの1年5か月間

4.敷地面積、建設にかかった費用

・敷地面積…約1ha、
・設計・建設費…約19億円

5.ランニングコスト

・H25年7月からH40年6月まで15年間の運営・維持管理費は約28億円(年1.8億円)
・H25年度実績は約8,300万円

6.年間稼働日数と稼働していない日数

・発酵処理・・・274日(H25年7月~H26年3月の全期間)
・受入処理・・・家庭系165日(週4日受入)、事業系224日(週6日受入)

7.点検の頻度と点検箇所

 (主要設備)
・ガスエンジン発電機・・・2,000時間毎(年2~3回程度)
・汚泥乾燥設備・・・年1回
・脱臭設備・・・年1回

8..パッカー車のトン数とバイオ施設への運び込みの台数

・主に4tハッカー車(一部2 tハッカー、軽ダンプ有り)、全58台

9.臭気対策

・用途に適した脱臭方式を入札時の要求水準書で提示。
高濃度…薬液脱臭、燃焼脱臭(汚泥乾燥機)
低濃度…活性炭脱臭

10..バイオガスの利用方法とその実態

・主に発電に利用(発電6割、汚泥乾燥2割、その他2割)。
・H25年7月からH26年6月まで発電した電力は自家消費し、余剰電力は隣接するごみ焼却
施設で利用。
・H26年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を活用し、余剰電力を地元電
力会社へ売電(発電量全体の約85%)。
・今後20年間にわたり、運営・維持管理費を年間約3,000万円程度軽減することができる。
・H25年度の発電量は約126万kWh、送電量は約66万kWh

11..生ごみの選別方法とトン数、その変動

・H25年4月から、一般家庭及び店舗・飲食店等の排出時に生ごみ等を分別、搬入された生
ごみはの前処理装置で機械分別され、有機物は次の調整・発酵工程にポンプ移送される。
・分別された発酵不適物はごみ焼却施設で焼却処理。
・1日あたり65 tの処理能力(発酵不適物10 t(15%)を含む)
・H25年度の生ごみ処理量は約10,900 t(平均40t/剛、うち発酵不適物は約2,500 t(不
適物率23%)。

12..バイオの残渣のトン数とその利用方法

・H25年度の乾燥残渣搬出量は約280 t (有機物量の約3%)
・発酵した後の残りかすは、脱水・乾燥したのも、セメント会社の燃料として有効活用。

13..バイオ施設の耐用年数

・国内での設置数や実績がまだ少なくはっきりしない。
・焼却施設は概ね25~30年とされるが、それよりも長く使えるのではないかと考えている。

14..バイオ施設の休止の時の生ごみの格納待機と処理方法

・バイオ施設が長期休止する事態となった場合には、これまでと同様に焼却処理。

15..バイオガス発生への処理における菌の操作と処理方法

・発酵槽で発酵を安定させるための管理(温度、pH、ガス濃度 等)が重要。
・メタン菌を補給することはない。

16..ごみ分別と焼却ごみトン数の経年変化

・H25年4月から生ごみの分別が始まったことで、燃やすごみが約3割減少。また、市民の
分別意識も高まり、プラスチック容器包装材は約1割増加、古着・古布の回収量が約6割増加。

17..バイオ施設運営で一番困った点とその対処について

・施設の運営開始時は初期トラブルがあり、一つ一つ問題を解決しながら現在は安定稼働。
(施設立上げ時の初期トラブル)
・生物脱硫装置の充填材が閉塞したことによる臭気漏れ
→充填材の交換及び装置の再立上げにより復旧
・発酵槽の発酵不良(適正範囲pH 6.8~7.6→酸性傾向に低下)
→pH低下傾向の防止措置(苛性ソーダ、微量金属の添加)により回復
・不適物(雑誌、衣類、長靴、ホース等)の混入があり分別機や破砕機等の停止が時々発生
→これらを未然に防ぐためには市民の協力が不可欠。引き続き、広報やごみ情報誌、市ホー
ムベージ等を通して周知活動を行う。また、排出事業者に対しては、運搬許可事業者を通
してチラシ等を配布し、分別の協力をお願いする。

以上